オフィス・ワンダーランド(さい ふうめいプロデュース) 第28回公演

「漂鳥の儚」


作=さい ふうめい  

演出=岩村 久雄(文学座)



「華僑は革命の母」であると、国父孫文は言った。
一九一一年武昌蜂起─。遂に清は倒れ、孫文は中国にアジアで初めての民主国家を建てる。一連の革命運動は、華僑からの資金援助、人命財産の犠牲があってこそ運動が継続された。革命成就は華僑支援の賜物だった。
革命家孫文は海外での亡命生活が長かった。とりわけ日本滞在は長期に及んだ。一九八五年十一月に初めて日本の土を踏んで以来、一九二四年十二月まで、実に十四回渡日し、前後合わせて九年以上の期間を日本で暮らしたという。
その滞在地は殆どが横浜だった。
自由の気風を持っていた横浜は、中国革命の最大の根拠地だったのである。
一九四七年、中国では国共内戦が再び激化。そして敗戦国日本、孫文ゆかりの地横浜では……。 ここにとんでもない男が現れた。
横浜を自由都市に─。孫文の息子を騙る口八丁の主人公が仕掛ける壮大な夢はめぐる。
「俺は神でも騙してみせる……」
戦後焼野原の中華街を舞台に、華僑二派、アメリカ、日本の四派が繰り広げる大活劇─。
一九九〇年、戯曲『星に願いを』で文化庁舞台芸術創作奨励賞受賞の気鋭の劇作家さいふうめい、文学座ベテラン演出家岩村久雄とのコンビ四作目。好評焼跡勝負師シリーズ第四弾『漂鳥の儚』。