鳳凰の切り札

 

 

さいふうめい渾身のピカレスク・ロマン
焼跡勝負師シリーズ第3弾!!

戦後原子野の長崎に神をも怖れぬギャンブラー達が揃った。
ステンドグラス眩しい天主堂、命を投げ出した勝負の決着はいかに。

 

長崎は日本にあって異色の歴史を辿った街である。中世のキリシタン弾圧から、オランダ商館と出島の開港、シーボルトとおたきの悲恋、坂本竜馬の海援隊、海軍伝習所の開設、コルベ神父と聖母の騎士、そして終戦直前における原爆の投下・・・。この街を通り過ぎ、歴史を画した人物は内外に数知れない。
最近の2作品で勝負師の世界をみごとに昇華させた作者は、新作の舞台にこの長崎を選んだ。
ホン引き玄人、将棋真剣師ときて、今回は脱走軍人のカード師(ポーカー師)が主人公。沖縄、硫黄島が玉砕し、ソ連参戦が秒読みとなった1945年8月7日、帝国海軍発祥の地長崎に、広島で被爆をしながらも軍を脱走した一人の青年将校が帰ってきた。その通り名をツバメ。
人の正しき道が行わるるとき、ツバメは鳳凰に生まれ変わるという―。
本土決戦か降伏か。鳳凰を騙る主人公が招くものは、地獄の業火か、はたまた主の再臨を誘う聖火か。ステンドグラス眩しい天主堂―運命のカードはまさに引かれようとしていた。その札は何処に!!